オランダの茶色いパン

Digging into the taste of bread in Holland


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オランダ人のごはんですよ Pindakaas

パンにのっけるもので冷蔵庫に常備しているのがチーズとハム。スプレッド系ならイチゴジャム…ではなくて、ピンダカース(Pindakaas)です。Pindaはオランダ語でピーナッツ、Kaasはチーズですが、チーズは入っていない、いわゆるピーナツバターです。

img_7819オランダの食品会社Calvéが1948年にピーナツバターを初めて売り出したそうですが、当時butter(boter)という言葉が「バターを含有する商品にのみ使うべし」と法的に保護されていたそうで、んじゃ、とKaasという言葉を充てたのが始まりなのだとか。

ちなみにアメリカでは少なくとも90%のピーナツを含むものがピーナツバターの名を冠することができ、それ以下の含有量だとピーナツスプレッドになるそうです。

写真のピーナツバターは何の変哲もない大手スーパーのピンダカースですが、コクがあっておいしい。しかも甘くない。甘さがないために、ピーナツの味がよくわかります。

ピンダカースはポテトフライのソースとしても定番だし、オランダで人気のインドネシア料理の焼き鳥、サテアヤムにもこのピンダカースにハーブやチリを入れて焼き鳥にたっぷりからめます。

日本ではピーナツバターは遠い存在だったのですが、慣れると炊きたてごはんに「ごはんですよ」をのせたくなるように、ピンダカースがすっかりパンの定番スプレッドになってしまいました。日本にいるオランダ人が「おいしい茶色パンとピンダカースがぁっ!」と時たま発作を起こすのがわかるような気がしてきました。


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スープは仲良し Instantsoepen

のっける、塗る、挟む。パン食のバリエーションの基本ですが、オランダというかヨーロッパでは、プラスアルファでとても大切な付け合わせがあります。

それが、スープです。カフェのランチでも、サンドイッチなどのメニューと並んで、スープが単体でメニューにあります。もちろんパン付き。皿ではなく、壺になみなみとつがれたスープとパンは、ウキウキメニューのひとつです。

スーパーでもバリエーション豊かにインスタントのカップスープが売られています。種類もさることながら、シリアルボールの量のお湯が注げるのが私的には嬉しいです。

というわけで、今回はスーパーで買えるインスタントスープあれこれをご紹介します。家のストックを探してみたら、3種類のスープがありました。

左はトマトクリームスープ。リッチな味わいです。中央はマスタードスープ。私のなかではオランダ産スープのトップ。マスタードの酸っぱさと、ピリッとしたかすかな辛みと苦味がたまりません。酸辣湯のようなすっぱ系の味が好きな人ならいけるはずです。右は、限定販売のアジアの味「赤カレーとココナッツ」。アジア味には懐疑的でしたが、どうしていけます。日清カップヌードルのカレー味をラクサに近づけた感じです。在庫処理バーゲンで、50セントで仕入れました。

次にスーパーをのぞいてみましょう。

 

左からフランス風オニオンスープ(Franse ui)。フランス風となると、チーズとか色々はいってリッチな仕立てになります。中央マスタードスープ(Mosterd)。右はハンガリー風グヤーシュ(牛肉のシチュー)(Hongaarse goulash)。ハンガリーが挟み込まれるところ、図らずも地続きヨーロッパを感じさせられます。

 

左からピリ辛トマト味(Pittige tomaat)、中国風チキン(Chinese Kip)、野菜スープ(Gronte)、エンドウ豆スープ(Erwt)。エンドウ豆のスープ、エルテンスープはオランダの冬の風物詩スープです。

 

左は女王スープ(Koninginnen soep)、右はカレースープ。女王スープは、リッチなクリームチキンスープです。贅沢な材料なので女王なのか?と思いましたが、クイーンズデー(現在は国王の日)に飲まれていたスープで、起源をたどると17世紀フランスからもたらされたポタージュにたどり着くようです。マッシュルームとアーモンドをスープストックにした複雑な味だそうです。

 

左からシャンピオンクリーム(Champignon creme)、シャンピオンハム(Champignon ham)、ポロねぎクリーム(Prei creme)、アスパラスープ(Asperge)。アスパラはもちろん白アスパラですね! シャンピオンはいわゆるマッシュルームです。

 

粉末のカップスープのみならず、あたためるレトルトも豊富です。これまた量もたっぷり。オーガニック(Biologische soep)もあります。

ランチ時、夕食を軽くすませたい時、パンとたっぷりスープを楽しみましょう。ほわほわとたつ湯気の向こうに幸せが見えてくる温かなごはんになること間違いなしです。


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ライ麦パンの親友 Berliner leverworst

直径10cm丸型はハム、直径5センチはソーセージという固定観念はなかなかに強固らしく、スーパーの加工肉コーナーにずらずら並ぶ丸型を見ると、自動的にサイズでハム、ソーセージに仕分けてしまいます。

周りが白で縁取りされているこの加工肉も、ハムカテゴリーに入れてしまいましたが、よくよく見ると、worst。あら、ソーセージだわ。worstの前にleverとあるので、レバーソーセージです。

ベルリナーレバーボルストは、豚の脂身と肝臓で作られるソーセージ。レバーというとパテが思い浮かびますが、こちらは、かなりやわらかめですが、名前の通り、薄くスライスしたソーセージです。玉ねぎ、白コショウ、カルダモン、マジョラム、メース、ジンジャーなどのハーブや香辛料を効かせており、レバーのまったりした味に奥ゆきを与えています。

このベルリナーレバーボルストのお友達に、レバーカース(Leverkaas)というソーセージもあります。Kaasはチーズなので、チーズ入りのレバーソーセージ?と一瞬混乱しましたが、キャセロール、ケーゼ(ソーセージを焼くための型)が変化してついた名前だとありました。レバーカースはカマボコのような形で、これが丸くなるとベルリナーレバーボルストと呼び名が変わります。

周りの白い縁取りは、ベーコンの脂で作られています。

こくのある味なので、すっぱめのライ麦パンとの相性は抜群です。


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なまぎゅーソーセージ Ossenworst

友人の自宅にランチにお呼ばれしたときのこと。パンの付け合わせとしてテーブルの真ん中に置かれたとりどりのハムやらソーセージのなかで、直径8センチはあろうかというソーセージかハムが、切り分けずに腸詰状態のままで置かれていました。手にとると、むにゅむにゅで柔らか。

 

「それは、オッセンボルスト(Ossenworst)というソーセージだよ」

オッセンボルストは、オックス(雄牛あるいは去勢牛)の生肉を使用したソーセージでアムステルダム発祥と言われています。17世紀、デンマークやドイツから大量のオックスが輸入されたそうで、当時、オランダは東インド会社の貿易が盛んな黄金期。ナツメグや胡椒、クローブなどの香辛料を加え、ご当地グルメを作っていったそうです。肉が腐るのを防ぎ、かつおいしく食べることができる香辛料は、その頃のヨーロッパでは衝撃だったのでしょうね。18世紀の料理本にも”オッセンボルストの作り方”の記述があるそうです。

数年前にユッケでひと騒動あってレストランのメニューから控えられ、ユッケファンが大いに悲しんでいたことがありました。それより何世紀も前のヨーロッパでは冷蔵庫もなく、生肉なんて言語道断だったと思うのですが、それでも香辛料をふりふりして、どうにか生で食えるように創意工夫を凝らしたわけです。「生肉を食う」ための情熱には頭が下がります。

とはいえ、伝統的なオッセンボルストは熟成肉を低温でスモークさせて生っぽく食べられるようにしたそうです。現在は牛の赤身が使われているそうです。ユッケをちょっとかためにして平たくした感じ。どちらも生肉だから似るのは当たり前か。香辛料はかすかに味に感じる程度です。

酸っぱめのライ麦パンとよく合います。


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パンにのっけるサラダ事情 Beleg salade

ポテトサラダが好きです。ポテサラを買って、たまに作ってパンにのっけたり、サンドイッチもポテトサラダに手がのびます。

オランダでもイモ、ハム、キュウリなど材料はスーパーに揃っているので作ろうと思えば作れます(まだ試していないのですが)。そもそも、売っているのか、ポテトサラダ。というか、パンのサラダ事情はどうなっているのだろうか。思い立ち、スーパーを探検してみました。

パンやカナッペなどにのせるサラダはBeleg saladeと総称します。Belegはトッピングという意味です。サンドイッチのように”挟む”ことはあまりなく、1枚のパンにぬりぬりすることが多いようです。”挟む”のは、例えばピクニックランチとか、オフィスランチとか持ち運びしやすくor手を汚さずor食べやすくといった便宜上の行いのようです。

さて、スーパーには、Beleg saladeコーナーがあって、ずらずらずらーっと商品が並んでいました。全部買うわけにはいかないので、おいしそうなものをチョイスしてみました。

クリーミーカニサラダです。カニカマと思われるカニ肉がたくさん入っていました。日本のカニカマよりもややかためで、タラバっぽい食感があるので、より本物の食材に忠実かもしれません。クリーミーという名の割には、ぶっつぶつに切ったカニがゴロゴロ入っていたので、パンにクリーミーにのっけるというわけにはいかず、ボロボロ落ちていくので若干食べにくかったです。

スパイシースリナム風放し飼い鶏の卵のサラダ。スリナムは南アフリカにある小さな国で、オランダによる植民地支配がありました。今でも公用語はオランダ語だそうです。スリナムのことは恥ずかしながらよく知らないのですが、オランダではスリナム風というと、カレー味になることが多いようです。卵とカレーの魅惑の組み合わせ。スパイシーと小さく書いてありますが、特に辛くはなかったです。カレーであることは認知できたのですが、なじみのないカレー味でした。大阪のイカリソースから引っ越してきた東京のブルドックソースにスイッチした時、味に違和感を覚えた小さい頃を思い出しました。

ハムサラダのマヨ和えはスーパーではなく、デリで買い求めました。ピクルスが入っています。加工肉大国だけあって、気前のよいハムの含有量。こちらのマヨネーズは日本のマヨネーズよりすっぱさがかなり抑えられており、クリーミーな卵ソースといった感じです。ハムサラダマヨ和えと聞いて、マヨ=酸っぱい味を自動構築するも、すっぱさの主役がピクルスだったので、脳の中の味記憶細胞が若干混乱しました。

 

のっけトッピングのほか、ぬりぬりスプレッドもあります。

クリーミーで濃厚。サーモンは文句なしにおいしいです。リッチな味なので、塗りすぎるとしつこくなります。スーパーではさまざまなはっぱのサラダが売っており、ルッコラだけどっさり入ったパックもあります。サーモンの味とちょっぴりぴりっとくるルッコラの相性は抜群です。

最後に。ナゾのペースト、Filet americain。

アメリカ? フィレ?とネーミングが謎だったのですが、調べてみたら「タルタルステーキ」という意味でした。Wikiによると、タルタルステーキとは、タタール人の料理がヨーロッパに伝わったとされ、馬肉ではなく、牛を生肉を使うようになり、くさみを消すために香辛料を多用したそうです。あるいは、ヨーロッパ料理であったが、生の挽き肉を食べるのが野蛮ということからタルタル人の名を使うようになったという説もあるようです。で、そのタルタルステーキを焼いたのがドイツのハンブルグ地方の料理ハンバーグで、そのハンバーグはドイツではフリカデレというそうです。そうか、オランダの街角スナック、フリカンデルの元はハンバーグだったのだ!

ペーストの正体は分かりましたが、ネーミングが未だ謎。なぜアメリカを冠するのか。さらに調べる必要がありそうです。ちなみに、このフィレアメリカン。安いのを買ったせいもあって、妙なケチャップ味があってまずい。香辛料が効くというより、香辛料でごまかしています。この味、多分ウソです。一応、生肉ですし、上等のものを買ったほうが賢明です。

あ、そうだ。ポテトサラダはありませんでした!

 


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食パンふりかけ Hagelslag

幼い頃、どういった理由かは忘れましたが、朝食テーブルに母親がいないことがありました。出勤前で忙しい父が代わりに幼い私と兄の朝食を用意してくれるのですが、そういうとき、父が出してくれたのが、トーストしない食パンとココアパウダー。ココアパウダーを小さじ一杯にも満たないお湯で溶かしてペースト状にして、それをのべーっと食パンに塗ってくれるのです。「ココアは飲むもの!」と口うるさい母もおらず、手をココアペーストでベタベタにしても怒られず。父はこうるさい子供を黙らせてちゃっちゃと済ませたいために、ココアペースト食パンを思いついたのかもしれませんが、私にとっては規律も一気にゆるんで、イケナイことをしているような密やかな楽しみがありました。

ここ、オランダにおいては、私のようにコソコソする必要はありません。なんたって、食パンのふりかけが堂々と売られているのですから。ふりかけの名前はHagelslag。訳すとスプリンクル。日本語ならふりかけです。Boterham11

スーパーでは一角がHagelslagコーナーになっています。ミルクチョコ、ダークチョコ、ホワイトチョコ、フルーツ味と種類もさまざま。いわゆるスプレータイプ、削りタイプと形もいろいろ。1パックに色々な味が小分けにされているやつや大型タイプもあったりとバラエティがあることから、アメリカの家庭で色んなシリアルを取り揃えるように、一家に数種類常備なのかもしれませんね。

食パンにバターを塗って、シャカシャカと振りかけます。山盛りにふりかけても大甘になりません。甘さひかえめにしているのかしらん。

朝食からチョコって、大人になった今でもやっぱり嬉しいです。

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Boterhamworst  ボーターハムボルスト

IMG_2283ボーターハムは「バターとハム」という意味ではなく、「サンドイッチ」にあたります。

とはいえ、「パンの間に具をはさむ」サンドイッチに限っておらず、はさむときもあれば、食パンを土台にして具をのせるだけのスタイルもあります。どちらかといえば、はさむのはランチボックスにおさまりがよいとか、パン片手に仕事をする必要があるとか、便宜上そのような形にするだけであってパンを土台にすることが多いような気がします。

カフェなどでボーターハムを注文すると、巨大な具で土台パンが隠れている一品によく出くわします。そういったボーターハムを友人に報告すると、

「それはBoterham luxeだね!」(贅沢ボーターハム)。

さて、ボーターハムの典型的な具といえば、ボーターハムを名前に冠するボーターハムボルスト(ソーセージ)です。薄切りの丸いボルストに「これって、ハムじゃね?」と思うのですが、ハムとソーセージは作る過程が違うのであって形ではないということにハタと気づくのでありました。別にソーセージがハムのように大きくなったって構わないわけですしね。

直径は10cmほどで、小ぶりなオランダの食パンにのっけると食パンがすっぽりと隠れます。ほどよい塩味が効いて肉のうまみを感じながらも、あっさりとしています。

写真はGerookte ardenner boterhamworst。訳すと「スモークしたアルデンヌ風ボーターハム」です。アルデンヌ地方はフランスとベルギーにまたがる地方で、生ハムが有名です。アルデンヌのボーターハムボルストで調べてみると、豚肉がたくさん入っているソーセージという説明があります。写真のボーターハムボルストはオランダの最大手某スーパーマーケットのもので「アルデンヌ風」は、あっさり味なら「京都風」、味噌味なら「名古屋風」と似た雰囲気ネーミングだと推察します。