オランダの茶色いパン

Digging into the taste of bread in Holland


コメントする

なまぎゅーソーセージ Ossenworst

友人の自宅にランチにお呼ばれしたときのこと。パンの付け合わせとしてテーブルの真ん中に置かれたとりどりのハムやらソーセージのなかで、直径8センチはあろうかというソーセージかハムが、切り分けずに腸詰状態のままで置かれていました。手にとると、むにゅむにゅで柔らか。

 

「それは、オッセンボルスト(Ossenworst)というソーセージだよ」

オッセンボルストは、オックス(雄牛あるいは去勢牛)の生肉を使用したソーセージでアムステルダム発祥と言われています。17世紀、デンマークやドイツから大量のオックスが輸入されたそうで、当時、オランダは東インド会社の貿易が盛んな黄金期。ナツメグや胡椒、クローブなどの香辛料を加え、ご当地グルメを作っていったそうです。肉が腐るのを防ぎ、かつおいしく食べることができる香辛料は、その頃のヨーロッパでは衝撃だったのでしょうね。18世紀の料理本にも”オッセンボルストの作り方”の記述があるそうです。

数年前にユッケでひと騒動あってレストランのメニューから控えられ、ユッケファンが大いに悲しんでいたことがありました。それより何世紀も前のヨーロッパでは冷蔵庫もなく、生肉なんて言語道断だったと思うのですが、それでも香辛料をふりふりして、どうにか生で食えるように創意工夫を凝らしたわけです。「生肉を食う」ための情熱には頭が下がります。

とはいえ、伝統的なオッセンボルストは熟成肉を低温でスモークさせて生っぽく食べられるようにしたそうです。現在は牛の赤身が使われているそうです。ユッケをちょっとかためにして平たくした感じ。どちらも生肉だから似るのは当たり前か。香辛料はかすかに味に感じる程度です。

酸っぱめのライ麦パンとよく合います。