オランダの茶色いパン

Digging into the taste of bread in Holland


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あまずっぱいサクランボパイ Kersenflap

オランダ語でさくらんぼはKers(複数でKersen)といいます。6月末からスーパーに出回り始める夏の果物です。日本の佐藤錦のようなほんのりとした赤ではなく、えんじ色のダークチェリーです。ユトレヒト州のBetuweという場所が果物の産地として有名で、偶然、夏にそのあたりをドライブしたとき、道路沿いにサクランボ屋台が並び、さながらサクランボ街道のようになっていました。

ちなみにBetuweでは、春になると、桜の花見ならぬ、果物の花見スポットになります。

そんなダークチェリーをたっぷりと使ったKersenflapは、appelflapと同様、ざらめをまぶしたパイで、形も三角形が多いです(写真は半月型)。ざらめの食感を楽しむには、がっつりとかぶりつける鋭角が大切なポイントなんでしょうか。

Kersはフラーイというタルトでも定番のソースです。若干高めとはいえ、佐藤錦ほどでもないので、スイーツのソースとして惜しみなくふんだんに使うことができます。

KersenflapやKersenvlaaiを食べながら、気づきました。果物として食べるチェリーはやさしい甘さなのに対し、スイーツのソースになると、酸っぱさが加わり、きりっとした味になる。一方、甘さにすっぱさがきらっと光るストロベリーは、vlaaiでは若干しまりのないゆるゆるの甘さが勝っていた。熱処理を加えると、味に変化が起こるのでしょうか。ちなみに色目も、ルビーのようなサクランボソースに対しイチゴのほうは赤茶のずずっとした色でした(何もイチゴを陥れようというわけではないですが)。

そして、もうひとつ気づいたことがありました。日本ではスイーツのチェリーというと、パフェの彩りや、砂糖漬けだったり、どちらかといえばアクセントに使われることが多く、スイーツの素材としては今一つと思っていました。それは経験不足からくる誤解ではなかったかと。考えてみれば、1パックまるごとのサクランボソースを使ったスイーツって、味わったことがなかったかもしれません。毎年その時期になると楽しみにしていた果物だったのに、その奥深い魅力に気づいてやることができませんでした。灯台下暗し。すいません。Kersenflapをほおばりながら、サクランボを見直したのでありました。

 

 


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クリスマスの菓子パン Kerststol

クリスマスの時期になると、パティスリー、スーパーを賑わすクリスマスケーキ。スポンジにたっぷりホイップクリームをのせ、イチゴで飾って…というのは日本のクリスマスケーキで、オランダではそのようなケーキは見かけません。12月頃から出始めるのはKerststolというお菓子。ケーキというか菓子パンです。img_2668

ドイツのシュトーレンと同じという人もいれば、似て非なるものという人もいて、日本でしかシュトーレンは食べたことがないですが、私も似て非なるものに一票投じます。何というか…華やかさがない。一個30センチはあろうかという大きさで、表面には粉砂糖がたっぷりかかって特別感はでているのですが、「きゃー、きれい~💛」みたいな見るだけで幸せな気分に浸る系の食べ物ではないと思います。

ゆっくり発酵させた黄色みのある生地はパネトーネに似ています。調べたらパネトーネもクリスマスのお菓子だそうですね。レーズンとともに、真ん中にアーモンドペーストが入っているのが特徴です。

クリスマス休暇時、毎日スライスしてバターをたっぷり塗って食べるのだそうで、ちょびっと豪華な朝食にしたり、訪ねてきた友人にふるまったりするそうです。

家族や友達と過ごす大切なクリスマス時期。華やかさはなくとも、オランダ人の大事な大事なGezellig(心地よい空間、関係、雰囲気)の真ん中にあるお菓子です。

 

 


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Hartogさんのマフィン再び

アムステルダムに行く用事がありました。最初の用事を済ませ、次の約束の時間まで1時間あまり。観光する気分でもないし…。そうだ、あのパン屋さんに行ってみよう。

アムステルダム中心街から地下鉄で数分のところにあるHartogというパン屋さんです。最後に訪れたのは2年前。このブログにも書きました。お目当てはもちろんスペルト小麦のマフィンです。

2年前は、ベーカリー、ベーカリー兼カフェの2軒に分かれていましたが、ベーカリー兼カフェの1軒になっていました。白にゴシック系の書体がきれい。

平日の16時頃でしたが、お客さんがひっきりなしに入ったり出たりしています。地元のオランダ人だったり、学生か駐在員のイギリス人だったり、相変わらずの人気ぶりです。

翌日、家でゆっくりマフィンを味わいます。バターあるいはマーガリンの分量が絶妙なのか、しっかり焼き上げてあるからか、外側が適度にかたく、重いです。94g。パサパサなのかと思いきや、生地はしっとりとして密だが、ボロボロ崩れることなく、小麦の味をかみしめられる。生地に練りこまれたケシの実がプチプチの食感を生みだし、酸味の効いたチェリーが生地の甘さを相殺します。やっぱり、文句なくおいしい。

私が訪れたときは、マフィンは3つだけ残っていました。列で待つこと数分、幸いにも買われなかったので、「3つください」と注文すると、私の次のおじさんが「僕も1つ欲しいんだ」(汗)。おじさんも楽しみにしていたんだ。「じゃあ、2つでいいです」。そう注文しなおすと、おじさんの顔に何とも言えない安堵の色が広がりました。子どもか奥さんに頼まれていたのかな。

 

 


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Pecanbroodje 焦がしナッツのニクい味

ナッツ系のパンの代表といえば、クルミぱん!と叫びたくなりますが(叫ばなくてもいいですが)、ここオランダでは、立体星形をしたクルミぱんはありません。というか、どういう形態であれ、クルミを使ったパンにお目にかかったことはありません。ヒマワリの種、ケシの実とか種子を使ったパンだらけなんですけどね。なぜかクルミはなく。IMG_9559

その代わりというわけではないですが、クルミと同じクルミ科のピーカンナッツのパン、Pecanbroodjeが楽しめます。日本のクルミパンのように生地に練りこむのではなく、ペイストリー生地にトッピングします。

このパンの醍醐味は、メープルシロップでキャラメリゼした焦げ寸前のピーカンの味と食感です。

クルミよりもエグみが少なく、コゲ手前のメープルシロップとよく合うんです。プリンのカラメルとよく似ています。甘さにちょびっと苦味が混じると、途端に大人の味。プッチンプリンじゃなくて、森永の焼プリン。

焦がし系ってなんでこんなにおいしいんでしょうね。

中にアーモンドペーストが入っていることがあります。

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Appelflap 平たいアップルパイ

ヨーロッパのデザートは、リンゴが特別な地位を占めているような気がします。オランダでもAppeltaart(アップルタルト)、Appelbeignet(リンゴのフリッター)、Applevlaai(かたくて平たいアップルタルトのような感じ)、Apfelstrudel(薄いシュトルーデルという生地で巻いたパイ)など、リンゴにまつわるお菓子は色々あります。IMG_1334

もちろんリンゴ関係のパンもあります。それはAppelflap。三角形をしたパイといった感じでしょうか。サクサクのパイ生地は1.5~2センチと薄めで平ったく、ホロホロというより、ザクっとした食感でした(パン屋によって違うと思いますが)。そして、アクセントになっているのが、外側のザラ目。ザク、ガリ、フワトロ(ダイスのリンゴ)の楽しい三重奏です。

どのパン屋さんでも売っているといっても過言ではないくらい定番のアップルパイで、カフェでコーヒーと一緒に食べるまでもなく、持ち帰りタルトだと大きすぎて食べきれない、でもリンゴ系のデザートを食べたい、しかもささっと食べたい時に最適です。私もパン屋で買って、電車の中で楽しみました。


Oliebol 年末揚げパン

2014-12-11 03712月のオランダは雲が重く垂れこめ、ときに強い風が吹きます。晴れれば晴れるで凍てつく寒さ。東京との温度差はそんなに劇的ではないはずなのですが、朝7時まっくら、夕方5時まっくらも手伝って、冬が暮らしをすっぽりと覆っているようです。

巣ごもりしたくなるような12月の声を聞くと、年末風物詩パンのオリボール(オリボーレン:複数)屋台が街のあちこちに出現します。訳すと、身も蓋も情緒もない「揚げ玉」ですが、オランダ人にとっては師走を感じさせる季節の揚げパンなのです。

オリボーレンの起源は諸説あります。ゲルマン民族およびヴァイキングが冬至に行うお祭り「ユール」の際、オランダにいたゲルマン人がもたらしたというもの。スペイン宗教裁判の時代、オランダに逃げてきたポルトガル系ユダヤ人がレシピを持ち込んだという説もあります。アメリカ伝来のドーナツの起源はオリボーレンにあるとも言われています。

 

本来は12月26日から1月62014-12-14 051日までのようですが、12月の声を聞き始めると、街中の屋台やパン屋でも売られるようになります。屋台の場合、何も入らない素うどんならぬ、素オリボーレンかカレンズ(小粒のレーズン)入りが選べ、パウダーシュガーをぶっかけて食べます。

 

外側はカリッ、中はふんわりとしながらも弾力があります。生地自体にあまり甘味をもたせていないためか、あっさりとしていて、普通に1つはいけます。屋台では1個からでも買えますが、8個、10個とまとめ買い値段も設定されてて、そんなにたくさん食べられるんかいなと思いましたが、この味だったらいけそうです。2014-12-14 087

毎年、ベストランキングが発表されるそう。オランダ人たちにとっては熱い食べ物なんですね。パン屋のオリボーレンもいいですが、屋台で揚げたてのアツアツをその場でハフハフ食べたいです。寒さがかえっておいしさを引き立ててくれます。

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広場ではクリスマスイベントも

 


Eierkoeken たまごパン

スーパー、ベーカリー、どこIMG_2882にでもおいてあるEierkouken。Gevulde Koekと同じく、オランダ人の甘パンとして欠かせない存在です。

朝食としてというより、日中気が向いたときに楽しむスナックのようなパンで、形から日本の甘食を彷彿させますが、直径は10cm位と大型で(Gevulde Koekといい、10cmが好きですね)、中央がかすかに盛り上がっていますが、ぺったりと平たい形をしています。

オランダ語で卵は、Ei。卵をたっぷり使ったパンで、食感はスポンジケーキほどふわふわではなく、甘食ほどパサパサでもなく、口の中で絡むようなしっとり感もあり。さしずめスポンジケーキを潰して、ぬれせんべい化したといえば、近くなるでしょうか。IMG_2885

Eierkoekenは、ほのかにすっぱいような香りと味がします。このパンには膨張材として、重炭安(炭酸水素アンモニウム)が使われおり、この膨張材はケーキなどにも使われています。熱を加えると、水と二酸化炭素、アンモニアに分解され、水は蒸気となって生地を膨らませます。卵をたくさん使うので、重曹(炭酸ナトリウム)よりも膨張倍率の高い重炭安を使い、そのおまけとしてちょっとだけアンモニア臭がするのです。

こう書くと何だかおいしくない印象を与えてしまいますが、そんなことありません。1個85カロリー(うち卵が82カロリー)と、オランダ人のカリスマダイエッターも認めるたカロリーの低さ、こんがりと黄金色に焼けたパンは、あっさりとしていて、コーヒーと一緒にパフッとかぶりつきたくなるおいしさです。2個はいけます。

日本で卵パンといえばフワフワのスポンジで甘ーい味を連想しますが、オランダの卵パンは、大きくて卵もたっぷり使っているのに、夢のようなケーキに走らず、どこか質実剛健。国民性ですかね。

適度に詰まった生地

適度に詰まった生地