オランダの茶色いパン

Digging into the taste of bread in Holland


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クリスマスの菓子パン Kerststol

クリスマスの時期になると、パティスリー、スーパーを賑わすクリスマスケーキ。スポンジにたっぷりホイップクリームをのせ、イチゴで飾って…というのは日本のクリスマスケーキで、オランダではそのようなケーキは見かけません。12月頃から出始めるのはKerststolというお菓子。ケーキというか菓子パンです。img_2668

ドイツのシュトーレンと同じという人もいれば、似て非なるものという人もいて、日本でしかシュトーレンは食べたことがないですが、私も似て非なるものに一票投じます。何というか…華やかさがない。一個30センチはあろうかという大きさで、表面には粉砂糖がたっぷりかかって特別感はでているのですが、「きゃー、きれい~💛」みたいな見るだけで幸せな気分に浸る系の食べ物ではないと思います。

ゆっくり発酵させた黄色みのある生地はパネトーネに似ています。調べたらパネトーネもクリスマスのお菓子だそうですね。レーズンとともに、真ん中にアーモンドペーストが入っているのが特徴です。

クリスマス休暇時、毎日スライスしてバターをたっぷり塗って食べるのだそうで、ちょびっと豪華な朝食にしたり、訪ねてきた友人にふるまったりするそうです。

家族や友達と過ごす大切なクリスマス時期。華やかさはなくとも、オランダ人の大事な大事なGezellig(心地よい空間、関係、雰囲気)の真ん中にあるお菓子です。

 

 

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オランダ人のごはんですよ Pindakaas

パンにのっけるもので冷蔵庫に常備しているのがチーズとハム。スプレッド系ならイチゴジャム…ではなくて、ピンダカース(Pindakaas)です。Pindaはオランダ語でピーナッツ、Kaasはチーズですが、チーズは入っていない、いわゆるピーナツバターです。

img_7819オランダの食品会社Calvéが1948年にピーナツバターを初めて売り出したそうですが、当時butter(boter)という言葉が「バターを含有する商品にのみ使うべし」と法的に保護されていたそうで、んじゃ、とKaasという言葉を充てたのが始まりなのだとか。

ちなみにアメリカでは少なくとも90%のピーナツを含むものがピーナツバターの名を冠することができ、それ以下の含有量だとピーナツスプレッドになるそうです。

写真のピーナツバターは何の変哲もない大手スーパーのピンダカースですが、コクがあっておいしい。しかも甘くない。甘さがないために、ピーナツの味がよくわかります。

ピンダカースはポテトフライのソースとしても定番だし、オランダで人気のインドネシア料理の焼き鳥、サテアヤムにもこのピンダカースにハーブやチリを入れて焼き鳥にたっぷりからめます。

日本ではピーナツバターは遠い存在だったのですが、慣れると炊きたてごはんに「ごはんですよ」をのせたくなるように、ピンダカースがすっかりパンの定番スプレッドになってしまいました。日本にいるオランダ人が「おいしい茶色パンとピンダカースがぁっ!」と時たま発作を起こすのがわかるような気がしてきました。


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お肉屋さんのデリパン Ragoutpastei

パンを扱うのはパン屋さんに限りません。例えば、Slagerij。Slagerijとは肉屋さんのこと。お肉の切り身のみならず、パンにのっけるのに最適なハム、サラミ、ソーセージなどのほか、ハムサラダ、ミートボールなどのデリも売っています。すべてのお肉屋さんにあるわけではないですが、パン好きのオランダ人の欲望を満たすべく、ソーセージパン、そして今回紹介するRagoutbroodjeを揃える店もあります。

パイ生地を茶巾のように上部をきゅっと絞った手のひらサイズのデリパン。そのサイズのわりにはずっしりした重さです。なかにはラグー(肉の煮込み)がたっぷり入っています。img_9774

日本でいうところの冬になると登場するシチューパンに近いでしょうか。日本の場合は、クリームシチューやビーフシチューなどがありますが、こちらはクリームが主流のよう。クロケットの中身に、もう少し肉のかけらを増やした感じです。こちらも冬のデリパンのよう。

パン屋さんにもパイ生地のRagoutbroodjeがありますが、このパンの真髄は具にあり。肉屋さんのパンを楽しんでみましょう。

ところで、オランダの言葉にはけっこうフランス語が残っています。お財布はportemonneeとか、傘がparapluだったりとか。

パン屋のオランダ語Volkoren(全粒粉)やDesembrood(サワー種のパン)は、オランダ上陸しばらくは何のパンかさっぱりわからず、覚悟をもって注文したものですが、このパンに限っては初のご対面にもかかわらず、「ラグー」からどんなパンかほわんと想像できました。日本でもフランス語が浸透していたのだと改めて感じたことでした。ただし、日本では料理に限るようですが。


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Hartogさんのマフィン再び

アムステルダムに行く用事がありました。最初の用事を済ませ、次の約束の時間まで1時間あまり。観光する気分でもないし…。そうだ、あのパン屋さんに行ってみよう。

アムステルダム中心街から地下鉄で数分のところにあるHartogというパン屋さんです。最後に訪れたのは2年前。このブログにも書きました。お目当てはもちろんスペルト小麦のマフィンです。

2年前は、ベーカリー、ベーカリー兼カフェの2軒に分かれていましたが、ベーカリー兼カフェの1軒になっていました。白にゴシック系の書体がきれい。

平日の16時頃でしたが、お客さんがひっきりなしに入ったり出たりしています。地元のオランダ人だったり、学生か駐在員のイギリス人だったり、相変わらずの人気ぶりです。

翌日、家でゆっくりマフィンを味わいます。バターあるいはマーガリンの分量が絶妙なのか、しっかり焼き上げてあるからか、外側が適度にかたく、重いです。94g。パサパサなのかと思いきや、生地はしっとりとして密だが、ボロボロ崩れることなく、小麦の味をかみしめられる。生地に練りこまれたケシの実がプチプチの食感を生みだし、酸味の効いたチェリーが生地の甘さを相殺します。やっぱり、文句なくおいしい。

私が訪れたときは、マフィンは3つだけ残っていました。列で待つこと数分、幸いにも買われなかったので、「3つください」と注文すると、私の次のおじさんが「僕も1つ欲しいんだ」(汗)。おじさんも楽しみにしていたんだ。「じゃあ、2つでいいです」。そう注文しなおすと、おじさんの顔に何とも言えない安堵の色が広がりました。子どもか奥さんに頼まれていたのかな。

 

 


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季節のスパイスクッキー2 Taai-Taai

Speculaas同様、11月の声を聞いた途端に、あちこちのパン屋やスーパーで見かけるお菓子があります。名前はTaai-Taai。ターイターイと発音します。独特の語感で一発で覚えられましたが、Taaiは英語でTough、かたいという意味です。シンタクラースやシンタクラースのお付きのズワルトピートの型にぬかれたビスケットに、これから始まるシンタクラースのお祭り月間への期待も高まります。

かたいといっても、堅焼きおせんべいのガリッと乾いた感じではなく、ぬれせん的な湿り気に、噛みごたえをプラスしたようなビスケットです。

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味はというと、最初にオランダお菓子ではお馴染のスパイス、アニスシードが口の中をかけめぐり、後でスペキュラース味が残るという、スパイス強め。ペパーノーテンと似ています。それもそのはず、型抜きをした後の生地でペパーノーテンを作ることがあるそうです。

初めて体験する味に、慣れずにさよならするか、スパイスの効いた味がクセになってくるか。オランダ生活になれるかなれないかの関門と、とれなくもない。外国からの人が醤油味に慣れていくか?に似ているかもしれません。

なぜこのスパイスをビスケットに練りこむに至ったか、なぜオランダだけシンタクラースを祝うのか。ひとつのビスケットにも、その国が紡ぐ深~い物語があるのです。

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スーパーの他、パン屋さんでも売っています


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季節のスパイスクッキー Speculaas

11月の声を聞くと、オランダ全土はザワザワしてきます(特に子ども)。それはシンタクラースの行事月に入るからです。

一年の行事のなかで最も盛大かつオランダ人がもっとも大切にしているシンタクラース。サンタクロースおよびクリスマスの原型と言われています。

11月中旬、シンタクラースという赤い帽子に白いヒゲの聖人がお供のズワルトピートを連れて蒸気船に乗ってスペインからオランダにやってきます。オランダ中に散らばるよい子を訪ねて歩き、12月5日にプレゼントを配って、翌日再びスペインに戻ります。

シンタクラースが船でやってくる様子は生中継されるほどで、スペインに帰るまでの2週間あまり、彼らを街中で見かけることもあります。最近はこのズワルトピートの真っ黒な顔が人種差別だと物議をかもしていますが、かえって煽っているのではないかという気がしないでもないです。とにかく、楽しみにしている子どもの夢の邪魔になるようなことにならないといいなと思うのでした。自分がオランダで子どもだったら、眼キラキラの行事だったと思うもの。

さて、そんなシンタクラース時期に配られるお菓子の中にスペキュラースという茶色いクッキーがあります。コショウ、シナモン、ジンジャー、クローブ、カルダモン、ナツメグが配合された独特の味がするスパイスクッキーです。聖ニコラス由来の模様やイメージを表面にかたどるのが特徴です。最近は、11月のみならず、スーパーなどで一年中買えるようになりました。でも、せっかくならパン屋さんでこの時期に自家製スペキュラースを食べたいものです。

スパイスがかなり効いた味ですが、シナモン好きな人ならいける味です。日本では出合わないツンとくる風味と、真っ赤な帽子に真っ白おひげのシンタクラース。馴染みはないけれど、おいしいスペキュラースに、なぜか、『ブレーメンの音楽隊』の暗いけれど魅力たっぷりのおはなしや挿絵に目が離せなくなった、小さい頃を思い出してしまいます。

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アンティーク市で、スペキュラース用の木型が見つかります。

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Pecanbroodje 焦がしナッツのニクい味

ナッツ系のパンの代表といえば、クルミぱん!と叫びたくなりますが(叫ばなくてもいいですが)、ここオランダでは、立体星形をしたクルミぱんはありません。というか、どういう形態であれ、クルミを使ったパンにお目にかかったことはありません。ヒマワリの種、ケシの実とか種子を使ったパンだらけなんですけどね。なぜかクルミはなく。IMG_9559

その代わりというわけではないですが、クルミと同じクルミ科のピーカンナッツのパン、Pecanbroodjeが楽しめます。日本のクルミパンのように生地に練りこむのではなく、ペイストリー生地にトッピングします。

このパンの醍醐味は、メープルシロップでキャラメリゼした焦げ寸前のピーカンの味と食感です。

クルミよりもエグみが少なく、コゲ手前のメープルシロップとよく合うんです。プリンのカラメルとよく似ています。甘さにちょびっと苦味が混じると、途端に大人の味。プッチンプリンじゃなくて、森永の焼プリン。

焦がし系ってなんでこんなにおいしいんでしょうね。

中にアーモンドペーストが入っていることがあります。

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